2012年に時計産業の中心地として有名な、スイス・ヌーシャテルにて創業したHYT。ブランド名は「絶えず流れる時間、それを流動性のある液体で表現できないか」という創業のテーマに由来する「Hydro Mechanical Horologist(液体機械式時計師)」を由来としております。 ここ数年間はブランドの休眠状態が続いておりましたが、2021年3月に新株主の元、創業者のヴィンセント・ペリアール氏が会長として復帰。経営陣を刷新したうえで新生HYTとして日本に再上陸しました。 2023年10月現在、日本での正規販売店は私達アイアイイスズを含めて僅か3店舗のみ。 多くてもワンモデルに対して、28本のみしか生産しない希少なブランドを本日はご紹介させて頂きます。 HYTってどんなブランド? 世界初の液体を使用した機械式時計としてその歴史が始まった「HYT」。スタートは創業者であるヴィンセント・ぺリアール氏のある夢がキッカケでした。 「この世で誰も見たことのない腕時計を作ってみたい。」 この夢を叶えるべくヴィンセントは、様々な時計技師にどのような時計が作ることが難しく、また誰も見たことのない時計であるかを聞いて回りました。その結果、多くの時計技師から回答が集まる中、ある共通の悩みを皆が口を揃えて吐露していることにヴィンセントは気付きます。 「我々時計技師にとって最大の敵は水だ。どんな時においても常にそれとの戦いだった。」 私達が何気なく耳にする防水という言葉。時計以外の製品においても多くのシーンで聞く言葉であるが、それを当たり前のように保証し、かつ長年クオリティを維持し続けることは至難の技です。その証拠に、この世の全ての製品において作成した瞬間からメンテナンス等を必要とせず一生涯全く同じクオリティを維持出来るものは存在しておりません。 回答した時計技師達からすると、何気ない一言であったかもしれませんが、自身の夢を追うべくその指針となるものに飢えていたヴィンセントにとっては、この一言こそが今後の方向性を決定づける重要な転機であったことは言うまでもありません。そしてヴィンセントは自身の心にこう問いました。 「絶えず流れる時間。それを流動性ある液体で表現できないか」 ここからヴィンセントはかつてない時計作りを夢見て邁進して行くことになるのですが、「言うは易く行うは難し」という言葉があるように、様々な問題と直面していくこととなります。最終商品が出来上がるまでにはここから数年もの歳月がかかるのですが、かの発明王として有名なトーマス・エジソンもその生涯は順風満帆ではなく挫折と挑戦の繰り返しだったといいます。 誰も成し遂げたことのない時計を夢見てヴィンセントはどのように形にしていったのでしょうか。次回は、HYTの時計の構造に迫ります。また見てください。 HYT / エイチワイティー ブランド詳細ページ 2012年、スイスのヌーシャテルを拠点として設立された時計ブランド。液体を用いて機械式時計で時刻を表示するという途方もないアイデアを具現化するため、時計・医療・化学・物理学・宇宙工学等の様々な分野のプロフェッショナルが集結し、業界初の液体と機械式時計を融合させたリストウォッチは誕生しました。