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「うるう秒の廃止」というニュースを聞いても、ピンとこない方が大半かもしれません。しかしこの決定は、「人類が何千年もの間頼りにしてきた天体(地球の回転)と完全に決別する」という、時間計測の歴史における一大転換点です。
そもそも「うるう秒」とは何だったのか、なぜ今になって廃止されるのか。その背景を紐解いてみましょう。

太古の昔から人類は、太陽の昇り沈みや天体の運行を頼りに「時間」を決めてきました。地球が1回転する時間を24等分し、それをさらに細かく割って「1秒」を定めていました。しかし、20世紀に科学が飛躍的な進化を遂げると、驚くべき事実が判明します。「地球の自転速度には「ゆらぎ」があり、いつも同じではない(長期では遅くなっている)」ということです。潮の満ち引きによる海底との摩擦(潮汐摩擦)や、地球内部のドロドロとしたコアの流動、大気の循環などの影響で、地球の自転速度は日々わずかに変化しています。
そこで1967年、国際度量衡総会は時間の定義を地球の動きから切り離し、セシウム原子が放つ電磁波の振動数(91億9263万1770回)を「公式な1秒」と再定義。こうして人類は「絶対に狂わない究極の時計」を手に入れました。しかし、新たな問題が生じます。
例えば1990年頃、地球は原子時計の1日(86,400秒)よりも約2ミリ秒(1,000分の1秒単位)長くかかって1回転していました。たった2ミリ秒でも、500日(約1年半)蓄積すれば丸々「1秒」のズレになります。このズレを埋めるために誕生したのが、不定期に1秒を追加・削除する「うるう秒」です。

うるう秒は1972年から運用が始まり、原則として6月末か12月末の最後の秒に調整が行われてきました。地球の自転が遅れている場合、「23時59分59秒」のあとに「23時59分60秒」という特別な1秒を挿入し、その次に「00時00分00秒」へと進みます。
時差が+9時間ある日本では、大晦日の深夜ではなく「元日の朝8時59分60秒」にその瞬間が訪れます。過去27回行われたうるう秒はすべて「1秒の挿入」でした。
直近で実施された2017年1月1日、日本標準時が「8時59分60秒」を刻んだ歴史的な瞬間がこちらです。
▼ 2017年1月1日「うるう秒」挿入の瞬間(情報通信研究機構 NICT)
時計の秒が「60秒」という普段ありえない数値を表示している様子は、時計ファンや天文ファンの間で大きな話題を呼びました。

これほど精密に管理されてきたうるう秒が、2026年10月の国際度量衡総会で事実上の廃止方針(2027年5月20日発効予定)とされるのはなぜでしょうか。理由は極めて現実的です。
・高精度ネットワークの誤作動リスク
現代のインターネット、金融取引、航空管制、GPSなどは、ナノ秒(10億分の1秒)単位の同期で動いています。数年に一度、不定期にやってくる「1秒の停止(またはスキップ)」は、サーバーのクラッシュや通信切断を引き起こす最大の火種になっていました。
・史上初の「マイナス調整(負のうるう秒)」への恐怖
近年、地球コアの揺らぎなどにより自転速度が一時的に加速する現象が観測されています。さらに自転が速くなれば、史上初めて「1秒を削る(59秒を飛ばす)」対応が必要になります。過去に一度もテストされたことのないマイナス調整を行えば、世界中のITインフラに致命的なパニックが起きかねない、と強く懸念されたのです。

うるう秒が廃止されても、自転速度のゆらぎそのものが消えるわけではありません。では、ズレはどうなるのでしょうか? 新しい取り決めでは、これまでの「±0.9秒以内」という極めて厳格な縛りを撤廃し、「最大1時間(3,600秒)までのズレを容認する」という方針にシフトします。
実際に1時間のズレに達するのは数百年〜1,000年以上先と考えられるので、Xデーに世界中で一斉に時計を1時間進めるのか、サマータイムの切り替えのように各地域の深夜帯に合わせて順次1時間シフトするのか、数カ月~数年かけて1日あたりミリ秒~秒単位で極微小に時刻をずらすのか、具体的な処方箋は、「未来の人類」へと託されることになりました。

ブライトリングには高精度なスーパークォーツ(一部は除く)が搭載されています。一般的なクォーツ時計が月差±15秒程度なのに対し、スーパークォーツは年差±15秒(月差に換算するとわずか約1秒のズレ)の精度を、電波やGPSを利用しないスタンドアローンで実現。気温の変化によって狂いやすいクォーツの弱点を克服するため、温度センサーを搭載し温度による歩度を自動調整します。腕時計にセシウム原子時計や光格子時計の精度は必要ありませんが、精度の探求にはロマンを感じますね。

この記事の監修者
新田
役職: セールススタッフ
二十代は東京で某百貨店の時計売場に勤務。地元に戻り当時珍しかったブライトリング正規販売店のアイアイイスズに惚れ込み入社。以来、数多くの時計を見ております。時計選びに迷ったらお声掛けください!
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