【スイス出張記録】H.モーザー ファクトリーツアー ~私が「Mr.ヘアスプリング」です~


皆さまこんにちは。

先日、常連のお客様から、このブログについてお褒めの言葉を頂戴し舞い上がっている山口です。

いやね、自分としてはこのような

「普段お客様が知ることの出来ない裏側をたくさん記事にして楽しんで貰えたらなー」

という思いがあるのですが何分好き勝手書いているので当然不安もあります。

 

長すぎて飽きないかな・・・?

説明は分かりやすいかな・・・?

どこに写真を配置しようかな・・・?

やっぱり長すぎて飽きないかな・・・?…etc

 

その中で、お客様から頂くお褒めの言葉ってお調子者の山口からすると滅茶苦茶嬉しいんですよね。

本当にいつも皆さまありがとうございます。

 

今回も題名からして押し出しの強い山口の性格が出てしまっておりますが、

ファクトリーツアーの目玉であります「ヒゲゼンマイの巻き上げ体験」を中心にレポートしていきます!!

【実際にヒゲゼンマイを巻き上げているところ。量産品ではなく自社で組み上げたヒゲゼンマイを使うメーカーはとても希少です】

 

ここまでの出張記録

~ドイツでフライトキャンセル~編は ➡ こちら

~VERY RARE に込められたその思い~編は ➡ こちら

 

 

6月5日 ファクトリーツアー2日目

 

この組立レポートを書いていく前にそもそも「ヒゲゼンマイ」って何?って方も多いのではないかと。

ヒゲゼンマイとは・・・

 

このようなグルグル螺旋状に巻き上げられたパーツのことを指します。

ここで1番大事なこととして、このパーツは小さく圧縮されても大きく広がっても元に戻ろうとするバネのような力があるということです。

 

このパーツは、さらに色々な部品を取り付けられ、

 

このようなエスケープメントと言われる集合体になります。

これが時計に組み込まれると・・・

 

こうなります。まずこれが大体の時計の基本構造ですね。(モーザーはかなり特殊で一般と違うところも多いのですが今は割愛)

次に説明しなければいけないのがこの「ヒゲゼンマイ」、パーツの外観や大きさは分かったけど何のためにあるの?ということですね。

 

まず機械式時計の動き方ですが、分かりやすくいうとチョロQです。

そうです。引っ張ったらビューンと進むあのチョロQです!

【個人的な趣味がここで活かされるとは・・・】

 

皆さんの機械式時計も同じです!!

巻き上げられたエネルギーがビューンと解放される力を使って時計が動いているのです!

ただチョロQはビューンで問題ないのですが・・・

 

 

時計はビューンでは困るのですよ。

 

 

お分かりの方多いと思いますがすぐ止まってしまいますからね。

じゃあどうしたらいいか考えた時に、蓄えられたエネルギーをビューンではなくゆっくり「小出し」にしてくれるパーツが必要なわけです。

エネルギーを開放しないようにストップさせることは簡単なんです。問題は開放したりストップしたり「小出し」にすること。

ここで活躍するのが!皆さん覚えていますか?

ヒゲゼンマイの特徴を。

 

「このパーツは小さく圧縮されても大きく広がっても元に戻ろうとするバネのような力がある

 

この均等に反復しようとする力を利用して、機械が動こうとするのをストップしたり開放したりするのがヒゲゼンマイの役割なんです。

 

絵がなく文章だけで伝えるのは難しいですね。

不完全燃焼感は否めないですが、書き出すと夢の10000字を超えてきますのでここでやめておきます。

 

兎にも角にも今日皆さんに覚えて頂きたいのが、「ヒゲゼンマイ」とその部品は人間でいうところの心臓部分であり、

ここが切れてしまったり不具合を起こすと時計としての機能を停止してしまう程重要な部品ということです。

 

 

それほどデリケートな部品ですから、当然一般的なメーカーは外部より部品を買って自前の時計に載せています。

むしろこれが普通のことなのですが、前回のブログでもお伝えした通りモーザーはこのヒゲゼンマイを自社で製造し組み立てている希少なブランドなのです。

当然、コストも時間も掛かります。なのになぜ自社製造に拘るか聞くと・・・

 

一般的な時計ブランドが使うヒゲゼンマイはとても製品として安定していてコストも抑えられているよ。

ただ大量生産品の宿命として、そのクオリティに少しばらつきがでることがある。

時計が動作する上で1番重要な部分だからこそ自分達で作ることが重要だと考えたんだ。

 

とのこと。この言葉だけでもモーザーの時計に対する情熱を深く感じます。

そんなモーザーの魂とも言える「ヒゲゼンマイ」ですがどのように作られているのでしょうか?

その製作について見ていきましょう。

 

H.モーザーが誇るヒゲゼンマイ

まずモーザーのヒゲゼンマイですが太い金属を細く引き伸ばすところから始まります。

はじめに行うのは厚さ約0.6mm程の金属を3週間かけて0.107mmまで細く引き伸ばす作業。

 

なぜこれだけ白、黒?と感じた方が多いかもしれないのですが、この冷却と潤滑を担う液体が少しショッキングなカラーになっておりまして。

オリジナルが見たい!という勇気ある方は私をお探しください。火曜、日曜でしたら元気に本店を駆け巡っておりますので。

 

その次に、0.107mmから0.0863mmまで引き延ばします。

 

黄色のベアリングにある細いワイヤーがヒゲゼンマイです。ここまで段階的に行う理由としては、

急な圧を加えると切れてしまう可能性が高いからとのこと。

 

さらに!ここから0.0863mmまで伸ばしたものを0.04mmに伸ばし形状を整えます。

 

やはり引き延ばしの作業にはかなりのエネルギーを使うことから、熱量が凄まじく冷却設備が必須になります。

写真の仕上げを行う部屋は、常時温度管理がされておりスタッフでも滅多に入ることが出来ないようです。

そんな屈曲を経てここまで細くなります。

 

ちなみにこの素材自体にも並々ならぬ拘りがあり、

鉄、ニッケル、アルミニウム、チタン…etcといった8種類の合金を全て均等に配合し、

厳格に管理された温度で加熱を行うことで生まれる「PE4000」という超特殊素材を使用しております。

 

恐らく、ここまでの製造に耐えられる素材はこのような特殊素材でないと成り立たないのでしょうね。

事あるごと全てに感動しっぱなしですが、皆さまここからです。

ここから!!ヒゲゼンマイを人間の手で巻き上げ、初めの画像で見た螺旋状の形状にしていくのですが、

これが難しいったらありゃしない!!

 

体験で一人ずつ挑戦するも悪戦苦闘…

だれもが無理だと諦めかけたその時、それに立ち向かう1人の男がいました。

ここからはその1人の日本人の壮大な物語です。どうぞ「地上の星」を聞きながらご高覧くださいませ。

 

私こそがMr.ヘアスプリングです!巻き上げ体験

まあ、ここまで多くの設備や技術力のご紹介をしていきましたが最後の巻き上げは手作業です。

 

そう。シンプルに職人技なんです。この技術者が左手に持っているものを拡大すると

 

こうなります。真ん中に4つ窪みがあるのですが、そこに各方向からヒゲゼンマイを通し手で機械を回すと

 

このようにプロペラのように回転し最終的に

 

こうなれば完成です。(画像がガビガビで申し訳ございません)

これを最終的にばらして使うので1度に4つのヒゲゼンマイが出来るということですね。

ひと通りの説明を受けた後、いよいよ我ら侍JAPANの挑戦が始まりました。

 

トップバッターは今回最年少での出場です。はにかむ笑顔がチャームポイントのT君。

・・・善戦するも惜しくも敗退!!

 

よく見てみるとこのヒゲゼンマイよく折れるんですよね・・・

考えてもみれば厚さが0.04mmしかないですから無理もございません。

 

私が行きましょう。

その声は!!果たして本当に同い年?奇跡のベビーフェイスIさん。

・・・同じくゼンマイが曲がってしまい敗退!

 

ロビン:「HaHa!!この作業は未だ日本人で誰もできたことないからね!!」

 

そんなの無理に決まってるじゃないですか!!そもそも企画さんサイドにも問題があるんじゃないですか!!

こんなに恥ずかしめられたままでは日本に帰れっ…!!

 

ぷぷっ

 

今、笑いましたよね!?そんなに真剣な顔してますけど笑いましたよね!?

このままでは男が廃ります。アイアイイスズの看板を背負い山口行きます!!

 

・・・入らねぇー。

そもそも横からゼンマイを通すまでに器具に接触しているんだなこれ。

とりあえず横からまず器具にだけ通してみようか・・・

 

・・・1つ入ったぁ!!!!!!

落ち着け落ち着け。まだ一つ。ゆっくりと・・・

 

4つ全部入りました!!

興奮気味にここからどうするの!?どうするの!?と聞きまくり最終的に回すと…

 

 

出来ました!!

日本人初の快挙です。こんなに嬉しかったのは高校生の時に友達に馬鹿にされ続けた逆上がりを習得した時以来ですね!!

 

ロビン:「よくできたね。日本人で君が初めてです。ヤマグチさん」

 

優しくそう語ってくれたロビンに向かい僕は

 

山口:「ヤマグチ?ノンノン…」

 

 

「I am Mr.hairspring」

 

 

もう気分はアイアンマンです。あートニースタークもこんな感じだったのかと思うと凄く感慨深いものがありますね。

 

帰って意気揚々と役員にこの事を報告すると

 

「リップ(サービス)じゃない?」

 

はい、聞かなかったこととします!!!

 

とここまでが、モーザーのヒゲゼンマイ(英語でヘアスプリング)についての記事です。

次回はスイスの街並みとかこんなこともありました的なことを書いてまとめに入っていきたいと思いますので

どうぞご期待下さいませ。

 

【スイス出張記録】H.モーザー ファクトリーツアー ~これこそがロマンなのかもしれない~はこちら

 

山口

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                【スイス出張記録】H.モーザー ファクトリーツアー ~VERY RARE に込められたその思い~


                皆さんこんにちは。山口です。

                前回は大変でしたね。ドイツに入ってからのフライトキャンセル、さらに朝5時にホテルを出発。

                覚悟はしていましたがなかなかハードな日程になりそうです。

                今回はいよいよシャフハウゼンのH.モーザー本社に入ります!!

                 

                前回のブログ見れていないよ!!という方 ➡ こちらですよ!

                H.モーザー シャフハウゼンのファクトリー】

                シャフハウゼンの繁栄と産業振興に力を注いだ彼の精神は、今もなおこのファクトリーに受け継がれております。

                H.モーザーの歴史を理解する事は、シャフハウゼンの歴史に触れること。さあファクトリーに向けて出発です。

                H.モーザーのブランドについておさらいしたい方 ➡ こちらにどうぞ

                 

                6月4日 ファクトリーツアー1日目

                 

                朝5時、眠たい目をこすりながら7時間ぶりにフランクフルト国際空港に戻ってきました!!

                ここからチューリッヒまでは約1時間。そこからさらに1時間程車で移動しまして、

                 

                やって参りました!!シャフハウゼン!!

                 

                まずは昨日からお世話になるはずだったホテルに荷物を置き…

                 

                すぐに着替えをすませ車に乗ります。

                 

                ここから揺られること15分

                 

                 

                ついに到着しました!!H.モーザーファクトリーです。

                H.モーザーの時計に関する部品開発、設計、組立は全てこのファクトリーで行われております。

                 

                早速部屋に入り座学から開始。

                説明してくれるのは今回のファクトリーツアーの案内人でもありますMr.ロビンです。

                 

                突然ですが皆さんはH.モーザーのロゴの下に「VERY RARE」という表記が入っているのをご存じですか?

                実はこの「VERY RARE」には大きな意味が込められております。

                その意味とは・・・

                 

                ①企業としての姿勢と誇り

                ②真のマニュファクチュールとしての矜持

                ③エンドユーザーに対する希少性

                 

                この3つの柱こそが今日のH.モーザーの礎を築きあげてきました。

                 

                ①企業としての姿勢と誇り

                 

                ここをご説明する上で欠かせない点が、まずH.モーザーはスイス時計業界において数少ない独立した企業であること。

                そしてそれを手掛けるのがMELBホールディングスCEOのエドゥアルド・メイラン氏であるということです。

                 

                エドゥアルド氏はジュウ渓谷の名門時計一族の出身であり、彼の父はかつてオーデマ・ピゲの代表を務めたアンリ・メイラン氏

                そしてロシアで休眠前のH.モーザーのビジネスをしていたオクターブ・メイラン氏の曾孫になります。

                 

                かつてのH.モーザーはハインリッヒの没後、後継者に恵まれず、社会情勢の変化、1970年代のクオーツショックにより休眠状態に入ります。

                前述のオクターブ・メイラン氏も、ハインリッヒによって任されたロシアでのビジネスが1917年に起こった「十月革命」を受け活動停止を余儀なくされました。

                 

                モーザー家とメイラン家。2つの家が築き上げたブランドは長い冬の時代に入りますが、両家が遺した企業家精神は忘れられてはいませんでした。

                 

                2005年に創業者の子孫達の手によって復活を遂げ、2012年経営再興の指揮を任されたのが、当時アンリ・メイラン氏率いるMELBホールディングス。

                 

                永い時を経て再び、メイラン家にH.モーザーが戻ってきたのです。

                 

                現在はエドゥアルド氏がCEOを務める中、どこの資本にも属さない独立したブランドとして経営しております。

                 

                大量生産が難しい時計業界において、大手資本に入って運営を行うことはとても合理的ではあると思うんですよね。

                潤沢な資金の上で経営が出来ますし、グループ内で技術提供だって行えます。

                ただエドゥアルド氏は、誰の指示でもなく自分達が良いと思ったものを作る。ブランドのアイデンティティを守る。

                これこそが自分たちの誇りであり、何にも代えがたい希少なものだと考えております。

                 

                ②真のマニュファクチュールとしての矜持

                 

                H.モーザーは自社でムーブメントを開発・製造が出来るブランドです。このようなブランドを「マニュファクチュール」

                表現することが多いのですが、この「マニュファクチュール」の基準は線引きがなく曖昧になってしまうこともしばしば。

                しかしH.モーザーは、同じ社屋内に「プレジション・エンジニアリング」という姉妹会社を構え、そこで時計の「ヒゲゼンマイ」

                「部品に使われるビス」、「エスケープメント(時計の作動を司る脱進機と調速機)」までを自分達で製造しております。

                   【自社内に構えられた姉妹会社であるプレシジョン・エンジニアリング】

                 

                【プレシジョン・エンジニアリングで作られるビス】

                 

                【加工される前のヒゲゼンマイ】

                 

                【全ての部品が1つになって出来たエスケープメント。まさに小宇宙といっても過言ではありません】

                 

                ここまでの部品を自社で製造するブランドが他にありますでしょうか・・・

                この技術力は他のブランドから非常に大きな評価を受けており、H.モーザーだけでなく、25社以上もの時計ブランドにサプライヤー

                として供給をしております。なぜここまでするのかとロビンに聞くと・・・

                 

                「だってマニュファクチュールだもん」

                 

                すごくシンプルな回答で面喰いましたが、その意識の高さと自負に逆に凄みを感じてしまいました。

                 

                ③エンドユーザーに対する希少性

                 

                ここまでご説明をしていくとH.モーザーがいかに、時計製造に対して愚直に向き合っているかご理解頂けるのではないかと思います。

                ムーブメントのみならず、その部品までを自分達で製造するブランド。予想はつくと思うのですが当然大量生産は出来ません。

                 

                 

                皆さまが想像する最も有名な時計ブランドは年間に100万本を超える生産を行います。

                それに比べてH.モーザーの年間生産本数は約1500本。

                 

                そのうちの1本をお客様のもとに届けることが出来る。

                それこそが奇跡でありまさに「VERY RARE」なのです。

                 

                 

                 

                なんとかまとめたとつもりが、今回も2000字を超えてしまいました。

                たぶんなんの意識もせず書き続けると、5000字ぐらい超えそうなので気を付けなければ・・・

                 

                次回はファクトリーツアーの目玉!!

                私がロビンから「Mr.ヘアスプリング」の称号を頂いた、ヒゲゼンマイの巻き上げ体験のレポート記事にしたいと思います。

                 

                こうご期待くださいませ。

                 

                山口

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                Mail…商品のお問い合わせ、山口への応援メッセージはこちらまで!!

                 

                他にもこんな記事を更新しております!!

                【NEW】2019年7月13日 【スイス出張記録】H.モーザー ファクトリーツアー ~これこそがロマンなのかもしれない~

                2019年7月4日   【スイス出張記録】H.モーザー ファクトリーツアー ~私が「Mr.ヘアスプリング」です~ 

                2019年6月28日 【スイス出張記録】H.モーザー ファクトリーツアー ~ドイツでフライトキャンセル~

                 

                 

                 

                 

                 

                 

                 

                 

                 

                 

                 

                 

                 

                 

                 

                 

                 

                 

                 

                 

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                              【スイス出張記録】H.モーザー ファクトリーツアー ~ドイツでフライトキャンセル~


                              皆さん。こんにちは。アイアイイスズの山口です。

                              実は6月2日から7日まで、「H.モーザー」のファクトリーツアーで、スイスのシャフハウゼンに行って参りました。

                              H.モーザーってどんなブランド?って方々➡ こちらですよ!!

                              【シャフハウゼンの街並みと広大なライン川】

                              この5日間たくさん勉強して、たくさん遊んで帰ってきたのですが、皆さまにお伝えしたいことが山ほどありますので何回に分けて更新しますね。

                               

                              6月3日 出発日当日

                               

                              スイスへは羽田空港からまずドイツのフランクフルト国際空港に入り、そこからチューリッヒに飛んでシャフハウゼンまで車で移動するという、初日から約14時間の大移動となります。

                               

                              実は27歳にもなって飛行機が怖い山口…

                              去年バーゼルも行けたし大丈夫だよね?新婚旅行もハワイだったし大丈夫よね?

                              でも結構揺れたよね…?落ちたりしないよね!?なになに!?なんか機内がゴーゴー言いよる!!

                              やばい!!CAさん大丈夫よね!?ちょっと速度早くない!?ひぃ!!耳キーンなっとる!!ちょっとCAさ…っ!!

                               

                              そこから12時間程の記憶が抜けているのですが、気付いたらフランクフルト上空のようです。

                               

                              ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

                               

                              山口:「やっと降りれる…助かった…」

                               

                              ピンポンパンポーン

                               

                              CA:「皆さまにお知らせがございます。現在フランクフルト空港が悪天候の為、滑走路が封鎖されております。

                              当機はこのまま迂回を続け天候の回復を待ちます。なお気流の影響で大きく揺れることが予想されます」

                               

                              山口:「嘘でしょ?!封鎖って!!いつ降りれ…!!」

                               

                              ぐわ~ん。ぐらぐら。ドンッ!!!!!(これでもかと縦落ち)

                               

                              山口:「ひぃっ!!!」

                               

                              ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

                               

                              結局1時間程迂回を続け着陸したのですが、着いた時には酔ってしまいグロッキー状態。

                              それでも次のフライトがあります。這ってでもいかなければ…!!

                               

                              …え?

                               

                               

                              これ並ぶの?次のフライトまで時間大丈夫なのかな?

                              というか外天候悪いなー。はは。もしかしたら次の便飛ばなかったりして。

                               

                              …いやいやないない。そんな海外3回目にしてフライトキャンセルなんて。

                              ねぇT(メーカー担当)さん?

                              あれ?Tさん?

                               

                              近くにTさんの姿はなく他のお店の方に聞くと、どうやら電光掲示板に走っていったようです。

                               

                              しばらくすると神妙な面持ちで戻ってこられたTさん。

                               

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                              Tさん:「皆さんに重要なお知らせがあります」

                              暗い雰囲気で重たそうに口を開くTさん。

                               

                              え?なにこのムード。早くスイス行きましょうよ。シャフハウゼンの風が僕たちを待ってますよ。

                               

                              Tさん:「次のスイスのフライトですが」

                               

                              まさか。嘘ですよね。なぜかその先を聞きたくない。

                               

                              Tさん:「確認しましたところ」

                               

                              言わないで。それ以上は言わないでください!!

                               

                               

                               

                               

                              Tさん:「キャンセルとなりました!!」

                               

                              一同:「イヤー!!!!」

                               

                              Tさん:「僕は最終の交渉をしてきますので皆さんロビーで待機をお願いします」

                              やはりメーカーさんは頼りになります。本当に感謝です。

                               

                               

                              ロビーにて

                              他店さんA:「明日からどうなってしまうんでしょう」

                              他店さんB:「不安ですね。今日の宿も取れるか気になります」

                              他店さんC:「さっき聞いているとどうやら荷物は飛行機に預けたままになるみたいですよ」

                              他店さんD:「ということは1日この服装で過ごすということですね」

                               

                              13時間のフライトで心身ともに消耗しているなかやはり皆さんのショックは大きかったみたいです…

                              本当にここからどうなるんでしょう…不安なのは自分だけではないと理解しながらも異国の地ということあってか気分は落ち込みます。

                              早く出発の時のように皆さんと楽しく過ごしたい。でも今日は流石に無理かな…

                               

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                              5分後

                              他店さんB:「やっぱりドイツといったらビールですよね!!ホテルについて早く一杯飲みたい!!」

                              他店さんA:「分かります!!ソーセージと合わせたら絶対美味しいですよ!」

                              他店さんC:「せっかく来たんやから空港内探索してきます!」

                              他店さんD:「あっ僕も行きます!お土産なんかありますかね!」

                               

                              このメンバーさん達とご一緒できて本当に良かったです。

                              流石、日本を代表するお店のスタッフさんばかりということで切り替えの早さに感動しました。

                               

                              Tさん:「皆さんお待たせ致しました」

                              そうこうしているうちにTさんが帰ってこられました。

                               

                              Tさん:「無事皆さんのホテルも取れましたんで今から向かいます」

                              他店さんB:「おっ。ようやくビールの時間ですね」

                              他店さんA:「ソーセージも忘れたらダメですよ!!」

                               

                              Tさん:「皆さん元気になったみたいで良かったです」

                              他店さんD:「まあ嘆いても仕方ないですからね」

                              他店さんC:「そうそう。しかも最初からこんなトラブルがあれば後何が来ても平気ですよ!」

                               

                              ホテルも決まり明日の便も確保し、みんなの顔には晴れやかな表情が戻った時、時刻は夜7時になろうとしていました。

                              明日からいよいよシャフハウゼン。もうどんな事が起こっても大丈夫!!僕もそう決意したその時!!

                               

                               

                               

                              Tさん:「では皆さん明日朝5時にホテルのロビーで」

                               

                              一同:「朝5時!?」

                               

                              うーん。やっぱり大変な出張になりそうです。

                              次回はいよいよモーザーのファクトリーに潜入します。こうご期待下さい。

                               

                              【出張記録】H.モーザー ファクトリーツアー ~VERY RAREに込められたその思い~はこちら

                               

                              山口

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                                                          シャフハウゼンの伝説 H.モーザーの歴史


                                                          シャフハウゼンの伝説 H.モーザー
                                                          時計産業の本場スイスでは、そのほとんどの拠点がジュネーブを代表とする西側のフランス語圏に位置します。
                                                          そんな中、唯一の例外ともいえる街がスイス北東部、ドイツとの国境沿いに位置するシャフハウゼン。この街の礎を築いたのが『H.モーザー』こと、ハインリッヒ・モーザーということはあまり知られていません。
                                                          『H.モーザー』の創始者にして有能な時計師、そして実業家であったヨハン・ハインリッヒ・モーザーの生い立ち、そして『H.モーザー』という時計ブランドをご案内いたします。
                                                           
                                                          シャフハウゼンで生誕 〜 帝政ロシアへ

                                                          ヨハン・ハインリッヒ・モーザー(1805-1874)は、1805年12月12日にスイス東部シャフハウゼンの時計師エアハルト・モーザー(1760-1829)のもとに生まれました。

                                                          H.モーザー一家は時計製造を営んでおり、ハインリッヒ・モーザーは初代から数えて5代目の時計師でした。

                                                          1820年から1824年の間、父エアハルトから時計作りを学んだ後、当時から時計の町だったル・ロックルへ。

                                                          1826年に独立、自分の家族が二代にわたって保持してきた町の時計師の地位を受け継ぐことを切望しましたが、まだ若かった彼にシャフハウゼン町議会の許可は下りませんでした。

                                                          これを機に彼は新天地を目指すことを決意します。
                                                          この時、父エアハルトはハインリッヒにイタリアへ行くことを勧めましたが、時計の需要が高まりつつあった帝政下のロシアへ渡ります。

                                                           

                                                          H.モーザー設立 〜 ロシアでの大きな成功

                                                          1827年11月にスイスを出発した彼は、約一か月後ロシアの芸術と文化の中心地であるサンクト・ペテルブルグに到着。

                                                          幾つかの時計店で経験を積んだ後、翌1828年自らの名を冠した貿易会社「H.モーザー&Co.」を設立し、サンクト・ペテルブルグ随一の繁華街ネフスキー通りに店を開きました。
                                                          そして翌1829年にはル・ロックルに直営工場を設立。

                                                          これにより高品質な時計の安定供給が実現し、サンクト・ペテルブルグ、モスクワ、ニジニ・ノヴゴロド、キーエフにあった自分の店に加え、ロシア帝国内とシルクロード沿いに設けられた独自の代理店網を拡大。
                                                          欧米のみならずペルシャや中国、日本と販路を拡大し、設立からわずか15年ほどで大きな成功を収めました。

                                                          この当時のロシアでのH.モーザーの名は凄まじく、「H.モーザーの偽物に注意!」と言った広告が出されるほどでした。

                                                           

                                                          故郷シャフハウゼンへ〜故郷の復興

                                                          大きな成功で財を成したハインリッヒはロシアの事業をパートナーに任せ、ル・ロックルで名誉市民に称された後、1848年の終わりに家族と共に故郷シャフハウゼンへ戻ります。

                                                          当時のシャフハウゼンは貧困と未開で困窮しており、ライン川鉄道や蒸気船会社のスイス産業社会の共同創業者となった彼は産業振興に力を注ぎました。

                                                          彼はシャフハウゼンの主要人物であり、ライン川の豊富な水量に着目して水力発電ダムを建設。
                                                          ダムは1866年4月9日に完成し、シャフハウゼン地域の工業化の礎となりました。

                                                          今日ではモーザー通りやモーザー公園など、彼の名を冠した幾多の地名が、今もその業績を秘やかに語り継いでいます。

                                                           

                                                          生涯に50万台近くの時計を販売〜ブランド休眠へ

                                                          1874年にハインリッヒ・モーザーが亡くなると、夫人はル・ロックルの工房の経営権をポール・ジラールに、ロシアの会社をオクターブ・メイランの協力者であったコーネリウス・ウィンターハルターに譲りました。

                                                          しかし1917年に起こった十月革命を受け、財産が没収されます。ロシアのH.モーザーは活動を停止、その後国有化されました。
                                                          それまでオクターブ・メイランはH.モーザーのロシアでの事業に携わっていましたが、彼もまた十月革命をうけてル・サンティエへ帰っています。
                                                          そしてル・ロックルの時計工場もクォーツショックの煽りを受け1979年ディキシ・グループにより解散し、H.モーザーというブランドは一旦休眠します。

                                                           

                                                          新生H.モーザーの誕生
                                                          時代は変わって現代へ。

                                                          IWCの技術部長であったユルゲン・ランゲ博士は在席中にH.モーザーのことを知り、ハインリッヒ・モーザーの曽孫にあたるロジャー・ニコラス・バルジガーと共にブランドを再建。

                                                          2002年にユルゲン・ランゲ博士ら有志によってH.モーザーはその名が再び国際登録されました。
                                                          2005年のバーゼルワールドでは業界唯一と言って良いほど特殊な永久カレンダーを搭載した「モーザー パーペチュアル1」を発表。このパーペチュアルカレンダーやムーンフェイズの開発には独立時計師として有名なアンドレアス・ストレーラーも参加していました。2007年にはヒゲゼンマイの自社一貫生産ラインを完成させ、二重のヒゲゼンマイで非常に安定した精度を誇る「シュトラウマン・ダブルヘアスプリング・エスケープメント」を発表。

                                                          どこの資本にも属さず、またヒゲゼンマイを自社製造できる特別なブランドです。

                                                          ところが当時のH.モーザーは高すぎる生産コストや開発費などで赤字が続き、ブランドの存続が危うい状況にありました。
                                                          この流れをうけ2012年より、かつてオーデマ・ピゲの代表も努めたアンリ・メイラン氏がCEOのMELBホールディングスがH.モーザーの経営に携わっています。

                                                           

                                                          現CEOはエドゥアルド・メイラン氏

                                                          彼はその名からわかるようにジュウ渓谷の名門時計一族の出身であり、先述のオクターブ・メイランの曽孫です。

                                                          彼はマユ、ノマードと以前のコレクションを統合し、ベンチャーやパイオニアと言った新しいコレクションを追加しました。

                                                          高い技術力と開発力を維持し、またヒゲゼンマイすら製造できる完全なマニュファクチュールであるH.モーザー。

                                                          現在の年間製造本数はわずか1000本代という、とても希少性の高いタイムピースを送り出しています。
                                                          またサプライヤーとしての顔も持ち、自社製造のヒゲゼンマイは各ブランドへ提供されています。

                                                          これら新生H.モーザーのタイムピースは独創的な機構と高い精度、美しくシンプルなデザインで時計愛好家の支持を獲得し、現在では高級時計の新たな指標となっています。

                                                           

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                                                          三崎

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                                                                        時計誌やファッション誌で紹介されることが多くなり、ここ最近お問い合わせが増えてきたH.モーザー。

                                                                        写真はH.モーザーのベンチャー スモールセコンド ファンキーブルー XLです。

                                                                        ケースサイズは43mmなのですが、モデルさんに着けてもらうととても似合っていて、新しい弊社カタログの扉絵にもなりました。

                                                                        晴れた屋外での撮影で、太陽の光を浴びて濃くなったり淡くなったり変化するフュメダイヤルはとても美しかったです。

                                                                        現在のH.モーザーのクラシックなコレクションは「ベンチャー」と「エンデバー」。

                                                                        以前はマユとモナードというコレクションが存在していて、これはケースの形などを含めて現在のエンデバーへ引き継がれました。


                                                                        H.MOSER&CIE / H.モーザー
                                                                        Ref. 2327-0203
                                                                        ベンチャー スモールセコンド ファンキーブルー XL
                                                                        ¥2,646,000(税込)

                                                                        ベンチャーは新しく生まれ変わった新生H.モーザーから始まっています。
                                                                        ドーム型の風防に細いラグという今のH.モーザーを表現したコレクションです。

                                                                        とても美しいモデルなので、一度店頭でご覧になってください。

                                                                        次回はH.モーザーの歴史についてご案内いたします。

                                                                         

                                                                        無金利クレジットは84回までご利用いただけます。
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                                                                                    お問合せ

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